Column
立教大学の中原教授のブログにこんなエピソードが紹介されていました。
中途採用者が「うちの会社は」という言葉を使い始めるのに何ヶ月かかるのか?:組織に慣れる、組織に染まる!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/14389
以下、引用します。
「ウチ」とは、境界の「内側」と「外側」を分ける言葉であり、かつ、自分の立ち位置を「組織の内側」に位置づける言語行為です。
自分の会社を「うちの会社」と呼べるくらいに、見事に組織再社会化(新たな組織に適応したこと)が達成されたようですね。
私は、今まで勤めていた会社を
「うちの会社」と呼んだことがありません。
むしろ、なんの後ろめたさもなく
その言葉を口にする人を
心の中でバカにしていました。
今思えばそれは、嫉妬の裏返しでした。
昔の私は、会社という組織から疎外されていたのです。
直接疎まれていたということではありません。
よくしてくれる人はたくさんいたけれど、
私にあてがわれる制度や
待遇からそう感じていた、ということです。
自分なりにできることを考えて行動したけれど、
上司はこちらを見ていない。
何をどう頑張ればいいのか、教えてもらえない。
私には、組織の内部に取り込まれるような
体験がありませんでした。
いつも、外から眺めていたような気がします。
もっとも、その体験があったから
今の仕事をしているのですから、
悪いことばかりではありません(笑)。
入社したときは、環境や文化の違いに戸惑い、
違和感を感じるものです。
適応するための行動をとるうちに
組織の一員として尊重されたり、
貢献する体験を得たりなどして
徐々に自分と会社やメンバーとの
心理的な距離が小さくなって
中に取り込まれる感覚を覚える。
そうなって初めて、「うちの会社」と呼べる気がします。
さて、あなたの会社では、
社員が何のてらいもなく「うちの会社」
と呼んでいるでしょうか?
社長は、特に中小企業であれば
自分と会社はほぼ一体化している認識でしょう。
しかし社員はそういう人ばかりとは限らない。
「うちの会社」と社員から呼んでもらえるには
会社がその人を迎え入れる体制ができているか、
力を発揮する場を与えられているか、
目を配っていることを感じさせることができているか
がとても大事だと思うのです。
(毎週水曜日更新)