Column
先週、安倍元首相が銃撃されて亡くなりました。
奥様の悲しみを思うと、本当に胸が痛みます。
心よりお悔やみ申し上げます。
犯人の動機は徐々に明らかにされつつあり、政治信条ではなく、
家庭を崩壊に追いやった宗教への恨みが動機になっているようですね。
暴力は決して許されません。
一方で、個人的な恨みという動機が明らかになるにつれ
「テロ」という表現は適切なのかという疑問を感じます。
テロや暗殺というのは、政治信条が異なる相手に対する
攻撃という意味です。必要以上にセンセーショナルな
民主主義への挑戦などという表現には違和感がありましたし、
そのシーンを銃声とともに繰り返し流すテレビに嫌気がさして
ここ数日はニュースもあまり見ないようにしていました。
また、故人の人となりに焦点を当て
「とにかく素晴らしい人でした」という報道を多く見かけました。
親しみやすくフレンドリーな
彼のキャラクターに好感を持った人も多かったのですね。
それも事実の一つではあると思いますが、
賞賛一辺倒の報道にはかなり違和感がありました。
彼が指揮した政策には、功績もあれば
首をかしげるような話もありました。
それをみんな「なかったこと」にするような
報道ぶりに違和感を感じるのです。
公職にあった人への評価は「人」でなく
職業上なした(またはなさなかった)
「こと」に対してなされるべきものと考えます。
その人自身の人格と、行ったことは分けて考えなければなりません。
親しみやすいおじさんとしての安倍さんと
一国を率いる総理大臣として行ったことは別です。
「いい人」だけで会社に貢献できるわけでは
ないことは。会社でも同じことですよね。
それが「人とことを分ける」ことだと思います。
選挙の結果が何を示したのか。
結果的にあまり投票率が上がらなかった結果からみて、
さして影響はなかった印象があります。
おそらくこれから補欠選挙が行われ、
これからの国政選挙でも安倍さんの名前は
いたるところで持ち出されてくることでしょう。
日本のために何を望むか、どんなことをしてもらいたいか。
「人」への情に流されることでなく、
「こと」で評価し判断することが
何よりも彼への敬意になると思います。
(毎週水曜日更新)