労働時間の上限は制約ですか?

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2022.06.22

少し前の話ですが
「スタートアップ企業は残業時間の
上限規制の対象外にすべき」という
経済同友会が4月に出した提言が波紋を呼びました。

スタートアップ企業に労働時間の上限を設けることは
このフェーズの企業で働く、
もっと働きたい人の意欲を削ぐ
という内容です。

その提言について、間下直晃・副代表幹事と
濱口桂一郎・労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長への
インタビュー記事がありました。

https://digital.asahi.com/articles/DA3S15328817.html

(2022年6月20日:朝日新聞朝刊)

間下氏は、下記のように語っています。

「日本では、どうしても時間で働くような
ルールが残っていると感じる。
生産性の向上にも、自由な働き方の選択にもつながらない」

確かに日本の現状はその通りです。
しかし、成果を出すのになぜ時間をかけるのが前提なのか?
発言者ご自身も
かけた時間に成果が比例するという発想
から抜け切れていないと思いました。

働き方改革は、そのような発想から
脱却するのも目的の一つだったのではないでしょうか。

濱口氏は

「労働者がどんな仕事をしているかという観点からすると、確かにスタートアップ企業では、大企業でこまごまとした仕事をするのと違う働き方はあり得る。だとすれば、『そういうマネジメント的な役割を果たす人だから、こう(残業時間の上限撤廃)なんだ』と主張すればいい。あるいは共同経営者的な立場の人であれば、(法律で保護される)従業員ではなく、共同経営者にすればいい。」


と述べています。

労働法制が多様な働き方に
対応しきれていない面はあります。
しかし今労働者の自律促進や
会社との対等な関係構築の
過渡期にある今の状況では
労働者の健康を守るために
まだルールは必要な段階と考えます。

上限規制という目に見えることの
是非を論じるよりも
長い時間をかけざるを得ない構造が
どこにあるのか、うち手はあるか
そこを考えるのが企業支援につながるといえないでしょうか。

制約上等、どう切り抜ける?
を考えるところにイノベーションが
あるのではないかと思います。

改めてスタートアップとは何ぞや?
と調べてみると
「新しいビジネスモデルや市場を開拓する」
という定義が含まれています。

制約から新しい考え方や仕組みを生み出す。
スタートアップには、そんな面でも
「新しく」あってほしいと思います。

(毎週水曜日更新)

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