Column
先日、娘がチーズトーストを作るというので
「冷蔵庫のドアポケットに
トマトソースのビンが入っているよ~」
と声をかけました。
数分後、
「お母さん、これ、トウバンジャンだった…」
娘は食パンにトウバンジャンをたっぷり塗り
チーズをのせたトウバンジャントーストを作っていました。
私が娘に伝えたのは
「冷蔵庫のドアポケットに入っている」
「ガラスビンに入っている」
という情報です。
ところが、彼女は
「冷蔵庫のドアポケットに入っている」
「ガラスビンに入っている」
同じく赤い、トウバンジャンを
トマトソースだと思い込んだのです。
普通に考えれば、
においや見た目でわかりそうなものです。
しかし人は「見たことを信じる」のではなく
「信じていることが見える」のです。
娘は「ドアポケット」「ガラスビン」「赤い」
という情報を持っていために
同じ場所で最初に目に入ったトウバンジャンの
ビンをトマトソースだと信じたのです。
職場でも、「どうしてそうなった?!」と
思うようなことはよくあります。
指示が意図どおりに伝わらなくて
やり直しになったり、
何気ない言葉が意図とは違うように受け取られて
人間関係が悪化したり。
このようなことは、単に
「それぞれが気を付ける」だけでは
なくならないと私は思います。
「トマトソースとトウバンジャンを
間違えるなんて、ありえない!!」
といっていても、解決しないのです。
組織は、はじめから、価値観が異なる
人々が集まっているということを
理解する必要があります。
今回のような間違いは、
ビンにラベリングすることや
ドアポケットに入れる赤いものは
トウバンジャンだけにする
ことで防げたかもしれません。
個人の注意力に原因を求めるだけでは
ミスや行き違いはなくなりません。
ミスや行き違いの起こりにくい
しくみを作ることに注力する方が、
成果の出る組織づくりには効果的なことなのです。
ちなみに、トウバンジャントーストは
辛いものが得意な私が引き受けました。
トウバンジャンは辛いだけでなく
しょっぱくて酸っぱいものだと
よくわかりました(笑)。
(毎週水曜日更新)